沈めてやるよ。

 

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かなり楽しみだった今作。初日に猛ダッシュでみた。

 

 

思うところを列挙。(がっつりネタバレ)

 

 

本堂瑛海

 

組織のスパイとして潜入している通称キール

歴史ある作品はその歴史を重ねる事に新規層を遠ざけることなる。この方はかつてコナン達と一悶着あって今のスパイという地位を獲得している味方であることを事前にわかっておく必要がある。それを序盤の「せめて私に捕まって」「海へ逃げて」「キールからの連絡でピンガが動いた」というセリフで伝えようとする努力。

視聴者それぞれにMVPがいると思うけど個人的ダントツMVP。何回無理して張らなくていいところで命張ったことか。そして無事生きて物語を進めずにすむことに成功。それもこれも過去の父との出来事と重なる部分があったからという動機付けもわかりやすく。扱いが良かった。

 

 

 

ウォッカ

 

キールに魚雷発射講座をわざわざ現場にむかってしてあげるかなり有能上司。今作の良かったところは誰も株を落とさなかった所なんじゃないかなと思う。それぞれがそれぞれ成し遂げたかったことを達成している。いつも無能と言われるウォッカだがジンについている偉そうな人の枠が抜けることに成功。監視カメラに映る映像でジンとウォッカ2人が駅でいつもの格好して日頃過ごしているの笑っちゃった笑

「兄貴、これは一理ありやすぜ」

 

ジン

 

詩ジンと謳われているジンだがわざわざ空中から潜水艦に出向いたのに目的のアイテムが当てにならないとわかった途端、「クソシステム」発言。あんまりジンが怒るシーンって記憶にないけど怒ると語彙力無くなるのがきゅん。最後の「さぁどうだったかなー」の茶目っ気芝居もきゅん。ちゃんと既読はつけるのも笑った。

 

 

ライandバーボン

 

コナン君通して2人で連絡していたけど1ファンからみても2人が連絡を取り合うのは解釈違いなのでいい絡め方。ライもバーボンも目立った活躍がないと言われがちだが「落ちろ」と「沈め」の対比だったり「空自がくるまえにすませろよ」に続く「海自がくるまえにすませろよ」だったりと見せ場が沢山あったと思う。無理して活躍させずファンだけ喜ばせてた。

 

 

 

ベルモット

 

オーシャンバトルロイヤルだとコナンの肝であるミステリーの部分が薄く別映画をみているように感じて終わったしまいそうな所を見ている側に問いかけるように「あなたならわかるでしょ」と視聴者にも問いかけているような終わらせ方がコナンらしさを残しててよかった。

 

ベルモットシェリーを助けた理由に関しては深く考えたいところではある。

原作でベルモットは執拗にシェリーの命を狙おうとする(理由不明)。今回でその理由が少し判明した気がする。ラムが老若認証を使えばボスの所在が掴めると思ったと言っていた。つまりボスは今誰かにその姿をみられると困るから姿をくらましていると考えられる。そしてそのボスはベルモットに何かをつぶせと指示する。恐らくシステムのことだろう。

 

ベルモットはそのため(ボスのため)老若システムを潰さなくてはならない→老若システムがアテにならないことを証明する必要がある→シェリーが別人である証明をする→結果シェリーが命を狙われずにすむ。

 

ボス関連でシェリーの命よりもシステムのほうがマズいということはベルモットは基本ボス関係で動いていると想像出来る。シェリーの命を狙っている理由もボスに関係するなにかの可能性が高そう。そうなってくるとあのポーチにもなにか意味がありそうだがそういう話はよくわからない。笑

 

ただシェリーは組織の仲間が近づくとお決まりの灰原センサーが反応する。今回も直ぐに気づいてホテルから出ようとするように。それなのに序盤のおばあさんになんの反応も示さないのは勿体ないなと。せっかくおばあさんとベルモットのネイルが同じという伏線を貼っていたりするのにね。

 

そんな難しい話全部忘れてベルモットが灰原を助けた理由「あなたならわかるでしょ」の意味が「人が人を助けるのに論理的思考は存在しない」といっていたことを大切にしているとかだったらいいなとかも思ったり。

 

 

ピンガ

 

ピンガの正体がバレ男になった途端声も男になった。いや、変声期があるこの世界でどうやって女声保ってん!ベルモットじゃあるまいし。なんて嘲笑っていたら、エンドロールでまさかの声優が同じ村瀬歩さん。女声と男声の変化自体がリアルに存在するものだったとわかった時は椅子からずり落ちそうになった。現実でも出来ることなんだからフィクションなら軽々やってのけられそう。そう考えるとピンガはヘマこそ多かったりジンと比べられて感情的になってしまう所こそあったけど基本は工藤新一だとわかっていたりと有能なんだろうなと思った。

「流石だな、工藤新一」

あっ、○ぬんだやっぱ(謎の安心感)

 

 

コルンandキャンティ

 

2人の掛け合いがなくて勿体ないけど許容範囲。

 

 

灰原

 

直美に「子供の言葉や行動で人生が変わることがある」とかけた灰原。素直に受け取るなら私の言葉に耳を傾けてになるけど、灰原を少年探偵団、特にあゆみちゃんに「逃げてばかりじゃ勝てないもん」と言われ証人保護プログラムを拒否した過去を通して出てきた言葉なんだと考えると感慨深いものがある。シェリーでは出なかった言葉。ちゃんと灰原が前に進んでいる何よりの証拠。終盤の「もう私はあなたたちの近くには入れないの」「バイバイだね、江戸川コナン君、、」は昔よくあった雲隠れをするという逃げの一手の話ではなく、あなたのことをこんなにも想っているのに離れなくちゃいけないのは寂しいなという切ない意味が純粋にあるんじゃないかなと思う。

 

 

 

コナン

 

時々人に向けて怒鳴るけどだいたい蘭姉ちゃん絡みだったりする。今回は灰原がいなくなった焦りから怒鳴っていたのが凄く印象的。思考を上回る潜水艦での逃走に誰も信じてくれないことを薄々わかっていたのもあってか、意外とすぐ周りの優秀な方々に頼って無事救出までの段取りをつけたのは流石といったところ。終盤佐藤刑事に謝るシーン世代、人種の壁を越えるというのがテーマだったりするのもあってか「信じてあげられなくてごめんね」なのがいいなって。コナンが灰原を助けられずに戻る際博士は泣いていてコナンも泣いてるように見える演出は昔青山先生がコナンは泣かないと言っていたのもあって貴重な瞬間なんだと思ってグッときた。コナン映画と言えばの1つ「いっけー!」は最後の最後のとっておきとして綺麗に締めた。かっこよかった。

 

 

またコナンを読み返したくなった。

 

流れるまんま流されたら

抗おうか 美しい鰭で

壊れる夜もあったけれど

自分でいられるように

 

https://youtu.be/KbGPM9jFeGg

 

 

最後にスピッツの美しい鰭の話。

 

 

1番の歌詞の意味は簡単に言うと

同調圧力に流されないで己の信念で抗ってやる。そんな自分を受け入れてくれた人達に誓う。もう悲しくて泣かない。喜びの涙を流す。自分を大切に上を向いて歩く。

みたいな感じ。誰かにそうするべきだと訴えるのではなく一人称視点で進むから恩着せがましさがないうえにスピッツが柔らかく歌うから背中を押してくれるというより隣で優しく寄り添ってくれる感じが灰原らしくていい。

 

来年も楽しみだね。